「“あきらめ症候群” スウェーデン ある難民家族の記録」
先日、NHKの「BS世界のドキュメンタリー」にて放映されていた番組。
一体、何を諦めてしまうのだろうか?と軽い気持ちで見ていたのですが、とても辛い病気であり、家族・友人の大切さを再確認できる内容でした。
この記事では、以下についてまとめています。
- あきらめ症候群とはどんな病気か
- あきらめ症候群からわかる子育てで重要なこと
キーワードは「ストレス」です。
子供にストレスを与えていいのか?と悩んでいる方はぜひ最後まで読んでみてください!
あきらめ症候群の症状・原因・治療
あきらめ症候群は、次のような病気です。
- 【症状】ある日突然眠ってしまう
- 【症状】何ヵ月、何年も眠ったままのケースが多い
- 【原因】極度のストレスにより発症
- 【原因】発症例の大半がスウェーデンへの移民(子供が多い)
- 【治療】治療薬は見つかっていない
- 【治療】ストレス環境が改善されたことで目覚めた事例がある
まるで生きることを諦めてしまったかのような症状のため、「あきらめ症候群」(別名:生存放棄症候群)と呼ばれています。
症状や原因、治療について具体的に紹介していきます。
発症すると眠り続ける
あきらめ症候群を発症すると、突然しゃべらなくなったり、食事を取らなくなったりします。
そして、症状が進行すると眠ったままとなります。
体には特に不調はなく、ただただ眠ってしまいます。
眠っている期間は様々で、数か月の人もいれば、何年も眠り続けている人もいます。
ただ、眠っている間でも覚醒と睡眠を繰り返しているそうです。
(まぶたの動きやいびきの有無で見分けがつくそうです)
この病気の症状の本質は、起きていても何もしない(できない)状態になるところにあります。
そのため、生きていくには、
- チューブで栄養補給する
- 体を清潔に保つ
- 血流が悪くならないよう定期的に体勢を変える
といった家族のサポートが必要不可欠です。
極度のストレスが原因
原因は、極度のストレスとされています。
実は、あきらめ症候群の大半が、スウェーデンへの移民の子供で確認されています。
子供は大人よりもストレス耐性が低いためか、発症は子供ばかりです。
その子供たちは、祖国で迫害や紛争・戦争を経験しており、やっとの思いでスウェーデンに逃れてきました。
そこで安心を得られれば良いのですが、比較的移民に寛容なスウェーデンであっても永住権を取得するのは大変で、何年も待たされたあげく却下される場合があります。
長い間永住権が取得できず、いつ強制送還されるかわからない状況が続くと、ある日突然この病気を発症してしまう事例が多いそうです。
ストレス環境を改善することで快復
治療ですが、まだ症例が少なく歴史も浅いため、治療薬は存在しません。
しかし、永い眠りから目覚めた事例はあります。
「永住権が取得できた」「一時滞在が認められた」など、ストレス環境が改善されたことがきっかけで目覚めています。
快復するには、家族の献身的なサポートと環境改善が欠かせないのです。
でも、眠ったままのはずなのに、どうして「永住権が取得できた」などの希望を感じることができたのでしょうか?
なんと、快復した人の証言によると、眠っている間の家族の会話を覚えていたそうです。
「症状」でも説明したとおり、実際は覚醒と睡眠を繰り返しているため、覚醒している間は周囲の様子がわかるようです。
治療のためにも、家族は希望を持ち続けて、語り掛けることが重要です。
あきらめ症候群からわかる子育てに重要なこと
「遠い異国で発生している稀な病」と捉えるとそれまでですが、原因や快復までの経緯を見ると2つの重要なことがわかります。
子供に希望を与えられるのは親
一つ目は、子供に希望を与えられるのは親だということです。
あきらめ症候群の事例では、身近な家族が希望を語ることで子供も希望を持ち、快復しています。
希望は、逆境に立ち向かうためには必要不可欠です。
そんな希望を与えられるのは、とりわけ子供と接する機会が多い親ですよね。
えーそんなこと言われても…と思うかもしれませんが、希望は、応援や励ましで十分ですし、なんなら傍にいてあげるだけでも大丈夫です。
「お母さんがいてくれるから大丈夫」
「何かあってもお父さんが助けてくれるから頑張ろう」
こう思っている子供は、安心感の中でどんどんチャレンジしていきそうですよね。
ストレスは掛け方が重要
もう一つはストレスの掛け方です。
ストレスは体に悪い!
特に子供は繊細でストレス耐性も低いから、子供にストレスを与えてはいけない!!
と言いたいわけではありません。
それだと、ストレス経験が乏しい子供が大人になり、社会のストレスに晒されると耐えられません。
ストレスのない世界で、ずーーっと生きていけるならいいのですが、なかなかそういうわけにはいきませんよね。
一方で、ストレスは逆に人を成長させる作用があります。
わかりやすい例だと、「寒中水泳」や「サウナ」ですね。
どちらも、ストレスに適用しようとする過程で体が強くなっていきます。
しかし、心や体はすぐに強くなりません。
徐々に変わっていきます。
そのため、許容できないストレスに見舞われると、心や体が耐えられないのです。
あきらめ症候群では、耐えられない極度なストレスが原因で発症しています。
大切なのは、子供に合わせた適度なストレスを与えることです。
子供の様子を注意深く見ながら、少しずつストレスを与えていくことで、強く成長していきます。
まとめ:【あきらめ症候群】究極まで追い込まれると生存放棄する事実
スウェーデンで多く確認されている「あきらめ症候群」。
祖国で迫害され、希望を求めて移住してきたが滞在拒否された…など、極度のストレスがきっかけとなり、眠ったままの状態になる病です。
まだ明確な治療法は解明されていませんが、快復するには家族が希望を語り聴かせることが必要不可欠です。
ストレスには「希望」が必要ということです。
そして、あきらめ症候群からわかる子育てで重要なことは次の2つです。
- 子供に希望を与えられるのは親
- 子供へのストレスは与え方が重要
ストレスは、人を成長させる一方で、極度なストレスは心も体も破壊してしまいます。
子供には、最初は軽めのストレスを与えることが大切です。
さらに、ストレスと同時に希望を与えることで、子供はストレスに立ち向かうようになります。
バランスが大切ということですね。
ストレスだけを与えて突き放したり、ストレスとは無縁の状態するのは避けていきましょう。